DV-Xα計算の入力値となる分子・錯体の構造データのライブラリ化

Auto-eduDV7

 

ご存知の通り、DV-Xα法プログラムの入力(F01作成)に必要なデータは、原子番号と原子座標だけです(場合によっては電荷も入力します)。

同じ形、同じ原子数、同じ点群に属する分子・錯体では、同じ対称軌道ファイルF25が利用できます。

例えば、折れ線型AB2型分子(C2v対称)では、水(H2O)分子、硫化水素(H2S)分子、二酸化硫黄(SO2)分子、二酸化窒素(NO2)分子、塩化ゲルマニウム(GeCl2)分子、二フッ化ケイ素(SiF2)分子などは、すべて同じ対称軌道ファイル(F25)を使えます。

違うのは、原子番号と原子座標だけです。

分子軌道計算システムeduDVでは、上記例の場合は“c2v12”というプログラムにより、

(1) AB2分子におけるA原子の原子番号

(2) AB2分子におけるB原子の原子番号

(3) AB2分子におけるA-B原子間距離(Å)

(4) AB2分子におけるB-A-B原子間角度(°)

の4つのデータを会話式で入力すれば、DV-Xα法の入力ファイルであるF01と対称軌道ファイルF25を用意してくれました。

今回、「丸善の化学便覧 基礎編 改定5版」に構造データが掲載されている主な分子、錯体について、原子番号、原子間距離、原子間角度、酸化数(初期値)などの必要最低限のデータをライブラリ化して、教育用分子軌道計算システムeduDVの中に組み込みました(Auto-eduDV機能と呼んでいます)。

Auto-eduDV機能は、秀丸エディタ上に構築されたDV-Xα法計算支援環境より呼び出して使うことができます。

具体的な使用方法は以下の通りです。

1.秀丸エディタを起動

2.eduDVボタンをクリック

3.”00. Automatic【データ自動入力】…”を選択、計算したい原子、分子、イオンを選ぶ

4.VESTAボタンをクリック

あとは三次元可視化システムVESTAの世界で、分子・錯体の形をBall-and-stickで確認し、Edit-Edit Data-Volumetric Data…で三次元可視化したい波動関数を等値表面図で描き、電子密度の等値表面を静電ポテンシャルの大小に応じて彩色できます(分子・錯体の中で、僅かに電子が多い場所(赤色)、僅かに電子が少ない場所(青色)が一目瞭然です)。

また、DV-Xα法計算結果の分子軌道のエネルギー準位表(F08E)、マリケンポピュレーション解析結果(F08P)、有効電荷(I08)、有効共有結合電荷(BN8)なども秀丸エディタ画面に自動的に表示されています。

このように、同じ点群(同じ対称軌道ファイルF25が使える)分子・錯体の構造データをライブラリ化し、秀丸エディタからメニュー形式でモデルを呼び出すことによって、いつでも、どこでも、誰でも、ライブラリに登録されている分子・錯体の電子状態を得られます。

教育用に、単原子、単原子イオンもライブラリ登録しました。

現在、教育用分子軌道計算システムeduDVに登録されているモデルの数は、

1.単原子(ノンスピン版のみ)     94種類

2.単原子イオン(ノンスピン版のみ) 248種類

3.分子またはイオン(ノンスピン版) 137種類

4.分子またはイオン(スピン版)   137種類

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合 計  616種類

です。

新機能「Auto-eduDV」が追加された教育用分子軌道計算システムeduDVは、以下のURLからダウンロードできます。

1.泉富士夫先生の粉末回折情報館より、DV-Xa.zip (2013/10/17; 835 KB)

2.坂根弦太の楽しい電子状態計算より、eduDV.zip (2013/10/16; 10.4 MB)

この二つの圧縮ファイルをダウンロード、解凍して、c:\dvxaの下にMacros, data, execなどのディレクトリ(フォルダ)を(中身のファイルごと)上書き保存すれば、アップデート作業は完了です。

新規に、Windowsパソコン(Windows 8, 7, vista, XP)に「DV-Xα法計算支援環境」を構築する方法については、こちら(DV-Xα法計算支援環境を構築するためのリンク集)をご参照ください。

また、坂根のblogに「Auto-eduDV」の紹介記事を掲載しています(メニューから原子、分子、イオンを選ぶだけで覗ける量子化学の世界)。